ご挨拶

  •  今回第27回日本腎不全外科研究会を、KKR札幌医療センターの今 裕史事務局長とともにお世話させていただく仁楡会病院の前野七門です。僭越ながらご挨拶を申し上げさせていただきます。

    大変残念なことに昨秋大平整爾先生が御急逝されました。
    大平先生は太田和夫先生の後を受け、第17回大会(平成20年、久木田会長、札幌)世話人会で当会の代表世話人にご就任されました。代表世話人のご退任に当たり太田先生がおっしゃったとおり、当会が学術面で洗練されるとともに、和気あいあいとした温かいものを残して発展してこられたのは、大平先生の的確なリードがあってのことと思っております。
    先生は第18回大会(岡田洋一先生、長野)でのご挨拶において、外科医は絶えず技量研鑽に努め、手術適応を考え、患者の同意を得たうえで、メスを持つ手に「心」加えて手術に臨むべきである旨を述べておられます。これはまさに今回のテーマである“慈心妙手”そのものかと思われます。

    “慈心妙手”は、慈恵医大産婦人科の初代教授であった樋口繁次先生が、“鬼手仏心”とともに当時鎌倉建長寺住職の釈宗演から授かった言葉とされます。ともに“高度の技術と患者さんを慈しむ心を一如として体現する”ことを示しているとされます1)。
    手術手技や術前術後管理の向上などにより、透析患者をはじめとする腎不全患者に対する外科治療がかなり積極的に行われるようになった一方で、近年は患者の高齢化や認知症の合併、術後フレイルの問題などから、高度・最新の治療行為が患者にとって必ずしも最善のものとはならない事例もしばしば見聞きいたします。高齢者医療のあり方が各方面から問い直されている現在、肝に銘ずべき言葉と考え拝借した次第です。
    今回は腎不全外科各領域のオピニオンリーダーの先生から、高齢透析患者への手術適応の観点からご講演をいただきます。この会が現代における“慈心妙手”を考える糸口を得るヒントとなれば幸いです。

    お元気だった大平先生が突然ご逝去され、私どもの動揺・衝撃は計り知れないものがあります。
    今回は在りし日の大平先生を偲び、久木田先生に追悼講演をお願いするとともに、先生のご愛読された書籍や、御著作の一部などの特別展示を企画いたしました。ぜひご観覧いただければ幸いです。

    温暖化の影響か最近は北海道でも夏らしい暑さが珍しくはなく、その分ビールが美味しい日が増えました。北国の山海の珍味やビール・ウィスキーは有名ですが、最近はワイナリーの起業も多くなりました。懇親会でぜひご堪能いただきたく、また日曜日には日ごろの激務で積もり積もったストレスを少しでも開放していただければありがたく存じます。
    末筆ながら、先生のご健勝をお祈り申し上げるとともに、御来道をお待ち申し上げます。

    1)松田誠.仏教への接近.高木兼寛の医学.東京:東京慈恵医科大学,2007;1011-1014

    第27回日本腎不全外科研究会
    当番世話人 前野七門
    (仁楡会病院)
    事務局長 今 裕史
    (KKR札幌医療センター)